【003】 コッヘムへ。ホテルに入れない!でも、やっぱりドイツの人は優しかった
リューデスハイムを楽しんだら、次はもう少し先へ進みましょう。
ライン川沿いを進み、コブレンツで乗り換え。
ここからモーゼル川流域へ入ります。
目指すのは、
コッヘム。
フランクフルトからなら、列車を乗り継いで2時間半ほど。
少し遠くなりました。
でも、ここまで来る価値はあります。
モーゼル川沿いの小さなワインの街
コッヘムも、ワインで有名な街です。
駅を降りて、まずは街の中心にあるマルクト広場を目指します。
歩いていくと、道がだんだん細くなってきます。
建物と建物の間を通る、細い路地のような道。

リューデスハイムには「つぐみ横丁」がありましたが、ここも横丁と呼びたくなるような雰囲気です。
歩いていると、私はなんとなく、
「ハリー・ポッターのダイアゴン横丁みたい」
と思ってしまいました。
狭い道の向こうに何があるんだろう。
そんなことを思いながら進んでいくと……
突然、視界が開けます。
木組みの家に囲まれたマルクト広場
細い道を抜けると、マルクト広場。
これが素敵なんです。

広場の周りを、
木組みの家がぐるり。
さっきまで狭い路地を歩いていたからでしょうか。
急に現れる広場が、より一層きれいに見えます。
「これ、これ!」
私がドイツの小さな街を巡りたくなるのは、こういう景色に出会いたいからです。
有名な観光地を見て回るのもいい。
でも、列車を降りて、
知らない道を歩いて、
その先でこんな広場に出会う。
これが楽しい。
さて。
街も見たし、そろそろホテルへ行きましょう。
……ところが。
ホテルが閉まっている
ホテルに到着しました。
ところが、
ドアが開かない。
鍵がかかっています。
え?
どういうこと?
今日、ここに泊まるんだけど。
チェックインするんだけど。
でも入れない。
困りました。
ものすごく困りました。
仕方がないので、隣のレストランへ行って聞いてみることにしました。
「聞いてみる」と簡単に書きましたが……
私は英語もドイツ語も分かりません。
それでも、聞くしかない。
ホテルに泊まれなかったら最悪です。
言葉が分からなくても、とにかく助けを求める
隣のレストランの店員さんに、
「隣のホテル……」
「泊まる……」
「でも開かない……」
ということを、どうにか伝えます。
店員さんも困った顔。
そりゃそうです。
ホテルの人ではないのですから。
どうしよう。
私も困る。
店員さんも困る。
すると、そこへ救世主が現れました。
知らないおじさんが助けてくれた
レストランにお客さんとして来ていた、一人のおじさん。
どうやら私が困っていることを理解してくれたようです。
そして自分のスマホを取り出し、
ホテルへ電話をかけてくれました。
この頃、私はまだスマホを持っていません。
ガラケーの時代です。
仮にホテルの電話番号が分かったとしても、海外で簡単に電話をかけられるような環境ではありませんでした。
いや。
そもそも電話がかけられたとしても、
何をしゃべればいいの?
という問題があります(笑)。
電話の向こうでドイツ語を話されたら、完全にお手上げです。
その状況を、おじさんは分かってくれたのでしょう。
代わりに電話をして、事情を確認してくれました。
原因は「メール」
そして分かったこと。
どうやらホテルから、
暗証番号がメールで送られていた。
その番号を入力すると玄関に入れたのか。
あるいは、ルームキーが入ったポストを開けられたのか。
細かいところは、もう覚えていません。
とにかく、
メールに届いていた暗証番号が必要だった。
今なら、
「ああ、セルフチェックインね」
と思えるかもしれません。
でも、そのときの私は、そんなホテルに泊まったことがありません。
ホテルへ行けばフロントがあって、
「チェックイン、プリーズ」
で、なんとかなる。
そう思っていました。
ところが、
フロントに人がいない。
ドアも開かない。
どうやって入るのかも分からない。
パニックです。
本当にありがとうございました
レストランの店員さん。
そして、たまたまそこに居合わせて電話までしてくれたおじさん。
本当に助かりました。
あの二人がいなかったら、私はどうなっていたのでしょう。
今でも、このときのことはよく覚えています。
ただ、ひとつ心残りがあります。
何かお礼をすればよかった。
チップでも渡せばよかった。
でも、そのときはホテルに入れるかどうかで頭がいっぱい。
「ありがとう」
と伝えるだけで精いっぱいでした。
今になって思うと、もう少しちゃんと感謝を伝えたかったなと思います。
それでも、言葉も分からない外国人が困っているのを見て、自然に手を貸してくれた。
こういう経験が何度もあったから、私はドイツが好きなのかもしれません。
ようやくホテルの部屋へ
そして、ようやくホテルに入れました。
部屋のドアを閉めた瞬間、
どっと疲れた。
街を歩いた疲れではありません。
ホテルに入れないという精神的な疲れです(笑)。
でも、これで今日はちゃんと寝られる。
よかった。
本当によかった。
旅をしていると、美しい景色だけではなく、こういうトラブルも起こります。
そして不思議なことに、何年も経ってからよく覚えているのは、案外こういう出来事だったりします。
翌朝、モーゼル川の向こうから街を見る
翌朝。
昨日のドタバタは忘れて、散歩へ出かけます。
モーゼル川に架かる橋を渡って、対岸へ。
そこから振り返って、コッヘムの街を眺めます。

これが、とてもきれい。
川の向こうに街。
その奥にぶどう畑。
そして、さらにその上には、
美しいお城。
コッヘムのライヒスブルク城です。
川、街、ぶどう畑、お城。
「ドイツの小さな街」と聞いて思い浮かべる景色が、全部そろっています。
お城まで来たけれど……
せっかくなので、お城のほうへ行ってみましょう。
坂を上って、お城へ。
入場券を買えるところまでは行きました。

でも……
入りませんでした(笑)。
ここまで来たのに?
と思われるかもしれません。
でも私は、
「お城は全部、中まで見なくてもいい」
と思っています。
いろいろなお城を見ていると、中の雰囲気は似ているところもあります。
もちろん、特別に見たいお城なら入ります。
でも、すべてのお城に入る必要はありません。
外から眺めるだけでも十分に楽しめるお城もあります。
そして、この日はお城より……
私は花より団子タイプ
カフェです。
お城を眺められるカフェに入りました。
注文したのは、
大きな大きなシュークリーム。
そしてカフェラテ。

このシュークリームが、
本当に大きい。
でも旅先です。
細かいことは気にしません(笑)。
カフェラテを飲んで、大きなシュークリームを食べながら外を見る。
そこには、さっき歩いてきたコッヘムの景色。
お城の中へ入らなくても、
私はこれで大満足。
こういう過ごし方も、旅の楽しみ方のひとつだと思います。
コッヘムは、景色だけではなく人の優しさを覚えている街
コッヘムと聞いて思い出すもの。
木組みの家に囲まれたマルクト広場。
ダイアゴン横丁のような細い道。
モーゼル川。
ぶどう畑。
丘の上のお城。
大きなシュークリーム。
でも、それと同じくらい思い出すのが、
ホテルに入れず困っていた私を助けてくれた人たちです。
言葉が分からなくても、
困っていることは伝わる。
そして、助けてくれる人がいる。
私はドイツを旅していて、何度もそんな経験をしました。
だから、
「ドイツの何がそんなに好きなの?」
と聞かれたら、木組みの家やお城だけではないんです。
ドイツの人の優しさ。
それも、私が何度もこの国へ戻ってきた理由のひとつです。
さて。
モーゼル川の旅は、ここでいったんおしまい。
コッヘム駅から列車に乗って、
フランクフルトへ戻りましょう。
次は、また違う方向へ。
フランクフルトから30分ほどの、小さな寄り道。
ゲルンハウゼンへ向かいます。
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ホテル アム マルクト・・・コンタクトレスチェックインとちゃんと書いてありました


