【006】 アルスフェルトへ。赤ずきんを探して、おとぎ話の街を歩く

フルダでちょっと途中下車を楽しんだら、再び列車に乗りましょう。

次に向かうのは、

アルスフェルト。

いよいよ、おとぎ話の世界へ入っていきます。

ここは「赤ずきんの里」として知られる街。

でも実際に歩いてみると、赤ずきんだけではありませんでした。

さあ、駅から歩きましょう。

アルスフェルト駅に到着。

駅前の道を、そのまままっすぐ歩きます。

ドイツの小さな街では、駅を降りても、

「観光地に来た!」

という雰囲気がまったくないことも珍しくありません。

むしろ、

閑散。

本当にこっちでいいのかな?

と思うこともあります。

だから私は旅行を計画するとき、駅を出たらどちらの方向へ向かえばいいのか、そのくらいは頭に入れておきます。

細かい道までは覚えません。

とりあえず、こっち。

それだけ(笑)。

もちろん、それでも間違えることはあります。

でも不思議なもので、最終的にはだいたい目的地にたどり着きます。

駅から歩いて十字路へ。

そこで周囲を見回してみます。

すると……

木組みの家が、ちらり。

よし。

こっちで合ってる。

私の場合、これが道しるべになります(笑)。

木組みの家が見えれば旧市街は近い。

そのまま進んで、石畳の旧市街へ入っていきましょう。

ここから景色が変わります。

旧市街へ入ると、可愛いカフェを見つけました。

ケーキ、トルテ・・・美味しそうなものの名前が並びます。

「いいなあ。入りたいなあ」

と思ったのですが、まだ朝が早い。

残念ながら準備中でした。

小さな街を朝から歩くと、こういうことがあります。

でも、人が少ない時間の旧市街を歩けるのも悪くありません。

カフェはまた後で。

そのまま先へ進みます。

すると、道が二つに分かれました。

さて。

右?

左?

私は……

右を選びました。

間違いです(笑)。

正解は左でした。

でも、旅行では道を間違えるのも悪いことばかりではありません。

右の道を歩いていたら、面白い家を見つけました。

建物の2階部分の壁に……

椅子が3脚。

え?

なんで?

壁に椅子?

何か意味があるのかもしれません。

でも私には分かりません。

ただ、

かわいい(笑)。

ドイツ人って、なんとなく真面目で堅いイメージがあります。

でも街を歩いていると、

「誰がこれ考えたの?」

と思うような、ちょっとお茶目なものに出会います。

道を間違えなかったら、この家には出会わなかったかもしれません。

そう考えたら、

間違えて正解。

旅では、そんなこともあります。

とはいえ、そろそろ正しい道へ戻りましょう。

監視のために使われていた塔のところから左へ。

そして歩いていくと……

ようやく到着。

マルクト広場です。

ここの市庁舎が、かわいい。

マルクト広場で目を引くのが、市庁舎。

屋根の上に二つの尖塔があります。

この姿がなんともかわいらしい。

大きくて威圧感のある市庁舎ではありません。

周りの木組みの家と一緒になって、広場全体がおとぎ話の舞台のように見えます。

広場ではテーブルや椅子が並べられ、何かの準備をしている最中でした。

これからイベントでも始まるのでしょうか。

何もない静かな広場もいいけれど、人が集まる準備をしている広場を見るのも楽しいものです。

アルスフェルトには、なんと400軒ほどの木組みの家があるそうです。

それを聞いただけで、

木組みの家好きとしてはうれしくなります(笑)。

そして、ここの木組みの家は一軒一軒が面白い。

白い壁に水色の木組み。

三角形になった部分には花の絵。

木組みの家というと、

白い壁に黒や茶色の梁。

それだけでも十分きれいなのですが、アルスフェルトではそこに絵が加わります。

この家は眼鏡屋さんです。メガネと双眼鏡が描かれています。。

そしてドアを見ると……

取っ手が眼鏡!

そこまでやる?

と思いながら、写真を撮りたくなります。

もう、この街を歩いていると、

なんでもかわいく見えてくる(笑)。

有名な建物だけを見て歩くのではなく、こういう小さなものを探すのが楽しいんです。

そして、ようやく会えました。

赤ずきんちゃん。

赤ずきんの里ですから、さぞかし目立つところに大きな赤ずきんちゃんが……

と思っていたら、

意外と小さい。

泉のところに、あひると一緒に立っています。

そして私が想像していた赤ずきんちゃんと、ちょっと違う。

「赤ずきん」というくらいですから、日本の防災頭巾のように頭からすっぽりかぶっているものを想像していました。

ところが実際は、

頭にちょこん。

帽子のような、お団子包みのような感じです。

へえ。

これが赤ずきんなのね。

……ところで。

狼は?

赤ずきんちゃんはいる。

あひるもいる。

でも狼の気配がまったくない(笑)。

赤ずきんのお話を知っている日本人としては、ちょっと探したくなります。

いや、もしかしたらどこかから様子を見ているんじゃないか?

こっそりと物陰に隠れている狼がいたら面白い。

そしてアルスフェルトを歩きながら、改めて感じたことがあります。

これはアルスフェルトだけではなく、ドイツ全体で感じることです。

窓辺に花を飾っている家が、本当に多い。

木組みの家。

白い壁。

黒や茶色の梁。

そこに赤やピンクの花。

これが本当によく似合います。

でも、考えてみると不思議です。

窓の外側に飾られた花は、家の中から見るためだけのものではありません。

むしろ、

外を歩いている人から見えるように飾られている。

自分の家をきれいにする。

そして、その景色を街にも少し分けている。

一軒だけではありません。

何軒もの家がそうしているから、街全体が美しくなります。

観光客のためにやっているわけではないでしょう。

そこで暮らす人たちが、自分たちの街を大切にしている。

そんなふうに感じます。

アルスフェルトへ来た目的は、赤ずきんでした。

でも、帰るころに心に残っていたのは、それだけではありません。

道を間違えて見つけた、壁の3脚の椅子。

二つの尖塔がかわいい市庁舎。

絵が描かれた木組みの家。

眼鏡の形をしたドアの取っ手。

小さな赤ずきんちゃん。

そして、窓辺いっぱいの花。

大きな観光名所ではありません。

でも、街を歩いていると、

「かわいい」

を何度も見つけられる。

私は、こういうドイツが好きなんです。

有名なお城だけでもない。

大聖堂だけでもない。

クリスマスマーケットだけでもない。

普通に暮らしている人たちの家の窓辺まで美しい。

素敵だな、ドイツって。

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